放置希望。
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5・読めない男
えー毎回これを書くのもめんどくさいのですが続いてます。
完全リクエスト連載(つまり続くかどうかは反応次第)ゲン+カカ+サス散文です。
読み返したい方はタイトル冒頭に数字をつけておいたのでそれをたよりに
お願いします。まあ、大抵ひとつ飛びなんだけど。
一番最初からお読みになりたい方はこちらからどうぞ。
***
「―――随分暗くなってきたね」
そう声を掛けられてオレは慌てて顔を上げた。
オレはいつの間にかカカシの胸でうとうとと居眠りをしていたようだ。
目が合うとカカシはオレの顔を見て噴き出した。
「ベストの痕が顔についてる」と自分の頬を指差され、恥ずかしくて手の甲で頬を擦った。
そんなオレの前で、カカシは大きな口を開けて欠伸をする。
じっとオレが見つめているのに気付くとへらりと笑って手で口元を隠した。
そういえば、任務の後直接此処に来たのだと冒頭言われたのを今になって思い出す。
きっと寝ていない筈なのに、カカシはオレを起こさないくらいの優しいタッチでずっとオレの髪を撫でていてくれたのだ。
そう思うと何よりも申し訳なさが先に立ち、オレは慌ててカカシの胸から飛び退いた。
「…なんで?」
「わ、悪い…、その、」
「別に謝んなくていいよ。寝顔も可愛かったし」
カカシは少し伸びをして体を解す仕草を見せた。
オレはかあっと顔が赤くなるのを感じる。
それをまた冷やかされて、頭を撫でられて居た堪れなくなる。なんだなんだ、この気恥ずかしさは。
そしてカカシの指がまたゆっくりと此方に向かってくる。
顔に近付くそれにオレは少しだけ目を細めた。
みっともないところを全て見られて、こんなにも甘やかされて
今のオレにはもう、数時間前まで全身に張り巡らせていた警戒心は全くと言っていい程残っていなかった。
「目、腫れちゃったね」
残念そうに一言、カカシはそう呟く。
「少し冷しとこうか」
オレの瞼に優しく触れたカカシの指はやはり少し冷たくて、オレはその心地よさに目を閉じた。
カカシは無防備なオレの前で小さな笑い声を漏らすとその場を立ち上がり、オレの頭上で勢いよく水音を鳴らした。
この家の中でオレ以外が立てる音を聞くのは久しぶりで、オレは懐かしむようにそれを聞いた。
蛇口の締まる音。
それに続く、多数の水滴がシンクを打ち鳴らす音。
ぎし、と木の床が鳴ってオレの前には再びカカシの影が落とされる。
今度顔に触れてきたのは冷たく絞られたタオルだった。
「こういう時なんて言うんだっけ」
「…?」
「…あ。思い出した。『いたいのいたいの、とんでけ~』」
「…何言ってんだアンタ」
「違った?」
おかしいなあ、と屈託無く笑うカカシの素顔はオレの心を綻ばせた。
少し前まではこの口布を下げられた顔を見ているだけでどうしようもなく心臓が跳ねたのに、今胸に感じるこの穏やかな気持ちはまるで嘘のよう。
ただ、カカシの顔は全てが晒されている訳ではなかった。
額宛を斜めに掛けて隠された左目。
其処だけがいつものカカシだ。
カカシは意外に表情をころころと変える男だった。
任務上だけの付き合いをしていた頃はもっと寡黙で落ち着き払った物静かな男だと思っていたのに、これじゃまるでオレよりずっと子供みたいだ。
さっきまでオレの顔に濡れタオルを当てながらニコニコと笑っていたと思えば、今ではもう難しい顔をしている。
どうしたのかと目で問うと、カカシは申し訳なさそうにこう言った。
「…ごめん、…腹減っちゃって」
「……あ、…そうか」
「それともこれからオレんち――…、…は、来ないよね」
返事に詰まるオレに遠慮してか、カカシは直ぐに訂正した。
「いいよいいよ、何か買ってくるから。お前も何か食べるでしょ?」
カカシはすっと立ち上がるとオレにその先の意見も聞かず直ぐに行動に移した。
玄関に向かう途中振り返り、手を振ってくるカカシをオレはただ呆然と見送った。
誰も「此処で食っていけ」なんて言ってないのに身勝手なやつだと呆れながら、オレの顔は笑っている。
玄関の引き戸が閉まる音には物寂しささえ感じるくらいに。
頭を切り替えて、オレものんびりと立ち上がる。
徹夜明けの疲れた体に風呂の提供くらいはしてやってもいいだろうと、さっきの礼にそれを結びつけて軽やかな足を廊下に向けた。
この時のオレは多分浮かれていたのだ。
この家で、誰かと飯を食える事に。
自分以外の人間の居るこの家で和やかな時間を過ごす事に。
***
「…ご馳走様!美味しかった~」
「…素麺くらいで、安い男だな」
「誰かと一緒に食べるってのがいいんだよ」
オレなんていつも一人だからね、とカカシはわざとらしく拗ねた口調で言った。
そんな軽口を流し、食器を片しながらオレは心の底でカカシの嘘を疑っていた。
噂のレベルなので信憑性は怪しいが、カカシはあれで結構女にもてると評判なのだ。
洗い物をしていると後ろから伸びてきた手に食器を奪われる。
「やるから休んでな」と気を利かせてきた声はやはり通りがよくて、
オレは嬉しさの反面先程浮かんだ噂もそう外れた話ではないのかもしれないと思う気持ちで折角の気分に影を落とした。
カカシは優しい。
余り話が得意でないオレにも楽しめるくらい話題が豊富で、言葉を選ぶのも巧くて人を不快な気分にさせない。
オレは久々に会話の弾んだ楽しい食卓にすっかり気が緩んでいた。
こんなに笑いながら食事を取ったのなんて何時以来だろうか。
気がつけばもう随分な時間になっていた。
開け放していた掃き出し窓の外は数多の夏の星が控えめにきらめいている。
それに気付いていながら、オレはカカシにその事を切り出せない。
それはカカシに「もう遅いから帰れ」と追い立てるのと同意になると思ったから。
オレが僅かに黙るとカカシは今オレが見上げていた星空に目を向け、微かに笑った。
気付かれてしまったのだろうか。
まだ、もう少しだけ此処に居て欲しいと思ってしまった情けないオレに。
カカシが帰ると、この家はまた何もなくなってしまう。
楽しげな声も
床を踏む音も
差し込む月明かりを遮る影さえ、オレのもの以外無く。
またオレはこの家に一人。
慣らされてしまった孤独は一度温もりを与えられた事で耐え難い苦痛に変わっていく。
ゲンマがそうだ。
オレをあいつの家に上げたりするから、オレはこの家に帰るのが寂しくてたまらなくなってしまった。
オレを抱き締めたりするから、オレはたった一人で過ごす夜に耐えきれなくなってしまった。
他人の優しさはオレを駄目にしていく。
強くなくてはならないと、誰にも頼れず生きていたガキの頃よりも
他人からの慈愛を覚えてしまった今のオレはこんなにも弱い。
こうしている今も、オレは必死で耐えている。
少し伸ばせば届く距離に居るカカシに縋ってしまいたくなる弱さに。
もう嫌だ。
本当は嫌なんだ。
一人で我慢するのも
寂しいのも
この広い屋敷でたった一人で過ごすのも
辛くて 辛くて
誰かの胸に縋り付いて、思い切り泣いてしまいたい。
それが出来たらどんなに―――。
「…サスケ」
オレの頭が引き寄せられて、カカシの胸に収まる。
オレはまた情けない顔をしていたのかもしれない。
僅かに頭を振って、カカシに何か言われる前にと顔を上げた。
帰ってもらうなら今だ。
「――カカシ」
「…寂しいの?」
「…んな訳ねえだろ。…もう、帰れ」
「そんな顔されて帰れないよ」
カカシは静かに、声を押し殺してそう言うとオレを抱く腕に力を込めた。
オレはその胸を押し退ける事ができなかった。
どうしてだろう。
オレはこんなにも弱い人間だったのかな。
少し黙ってしまうと直ぐに涙が溢れそうになってくる。
きっと、この場所の所為なのだとオレはおぼろげにそう思った。
カカシの腕を
胸の温かさを懐かしいと錯覚してしまう、この家。
(……あ、…)
カカシがオレを見ている。
優しい右目と
赤い血の色をした左目で。
オレはそっとその左目に手を伸ばした。
カカシは目を細めるだけで、閉じずにオレの指先を待っている。
目の縁に触れて、直接触れない其処にたくさんの思いを馳せた。
「…触っていいよ」
(……しゃりんがん…だ、)
オレはまた、カカシに強く抱き締められていた。
きっと泣いていたのだろう。
オレの濡れた頬にカカシの唇が触れ、溢れ出る温かい涙を舌で舐め取られて
オレは目の前の温もりが残像となって消えないように、夢中でカカシにしがみついた。
オレの罪は
これでまた塗り替えられてしまうのだ。
***
…よかった。
今データ全消ししたかと思った…(心臓に悪い)
全消しできて嬉しいのなんてぷよ勝負くらいだわ!!(涙)
あ、テトリスもです。
訂正してお詫びいたします。
という訳で
サスケさんの罪深い2回目の浮気がこれで確定しました。
どうでもいいけど書きっ放しで読み返しもしてないのを連日アップしてるので色々不安になってきた←今更
完全リクエスト連載(つまり続くかどうかは反応次第)ゲン+カカ+サス散文です。
読み返したい方はタイトル冒頭に数字をつけておいたのでそれをたよりに
お願いします。まあ、大抵ひとつ飛びなんだけど。
一番最初からお読みになりたい方はこちらからどうぞ。
***
「―――随分暗くなってきたね」
そう声を掛けられてオレは慌てて顔を上げた。
オレはいつの間にかカカシの胸でうとうとと居眠りをしていたようだ。
目が合うとカカシはオレの顔を見て噴き出した。
「ベストの痕が顔についてる」と自分の頬を指差され、恥ずかしくて手の甲で頬を擦った。
そんなオレの前で、カカシは大きな口を開けて欠伸をする。
じっとオレが見つめているのに気付くとへらりと笑って手で口元を隠した。
そういえば、任務の後直接此処に来たのだと冒頭言われたのを今になって思い出す。
きっと寝ていない筈なのに、カカシはオレを起こさないくらいの優しいタッチでずっとオレの髪を撫でていてくれたのだ。
そう思うと何よりも申し訳なさが先に立ち、オレは慌ててカカシの胸から飛び退いた。
「…なんで?」
「わ、悪い…、その、」
「別に謝んなくていいよ。寝顔も可愛かったし」
カカシは少し伸びをして体を解す仕草を見せた。
オレはかあっと顔が赤くなるのを感じる。
それをまた冷やかされて、頭を撫でられて居た堪れなくなる。なんだなんだ、この気恥ずかしさは。
そしてカカシの指がまたゆっくりと此方に向かってくる。
顔に近付くそれにオレは少しだけ目を細めた。
みっともないところを全て見られて、こんなにも甘やかされて
今のオレにはもう、数時間前まで全身に張り巡らせていた警戒心は全くと言っていい程残っていなかった。
「目、腫れちゃったね」
残念そうに一言、カカシはそう呟く。
「少し冷しとこうか」
オレの瞼に優しく触れたカカシの指はやはり少し冷たくて、オレはその心地よさに目を閉じた。
カカシは無防備なオレの前で小さな笑い声を漏らすとその場を立ち上がり、オレの頭上で勢いよく水音を鳴らした。
この家の中でオレ以外が立てる音を聞くのは久しぶりで、オレは懐かしむようにそれを聞いた。
蛇口の締まる音。
それに続く、多数の水滴がシンクを打ち鳴らす音。
ぎし、と木の床が鳴ってオレの前には再びカカシの影が落とされる。
今度顔に触れてきたのは冷たく絞られたタオルだった。
「こういう時なんて言うんだっけ」
「…?」
「…あ。思い出した。『いたいのいたいの、とんでけ~』」
「…何言ってんだアンタ」
「違った?」
おかしいなあ、と屈託無く笑うカカシの素顔はオレの心を綻ばせた。
少し前まではこの口布を下げられた顔を見ているだけでどうしようもなく心臓が跳ねたのに、今胸に感じるこの穏やかな気持ちはまるで嘘のよう。
ただ、カカシの顔は全てが晒されている訳ではなかった。
額宛を斜めに掛けて隠された左目。
其処だけがいつものカカシだ。
カカシは意外に表情をころころと変える男だった。
任務上だけの付き合いをしていた頃はもっと寡黙で落ち着き払った物静かな男だと思っていたのに、これじゃまるでオレよりずっと子供みたいだ。
さっきまでオレの顔に濡れタオルを当てながらニコニコと笑っていたと思えば、今ではもう難しい顔をしている。
どうしたのかと目で問うと、カカシは申し訳なさそうにこう言った。
「…ごめん、…腹減っちゃって」
「……あ、…そうか」
「それともこれからオレんち――…、…は、来ないよね」
返事に詰まるオレに遠慮してか、カカシは直ぐに訂正した。
「いいよいいよ、何か買ってくるから。お前も何か食べるでしょ?」
カカシはすっと立ち上がるとオレにその先の意見も聞かず直ぐに行動に移した。
玄関に向かう途中振り返り、手を振ってくるカカシをオレはただ呆然と見送った。
誰も「此処で食っていけ」なんて言ってないのに身勝手なやつだと呆れながら、オレの顔は笑っている。
玄関の引き戸が閉まる音には物寂しささえ感じるくらいに。
頭を切り替えて、オレものんびりと立ち上がる。
徹夜明けの疲れた体に風呂の提供くらいはしてやってもいいだろうと、さっきの礼にそれを結びつけて軽やかな足を廊下に向けた。
この時のオレは多分浮かれていたのだ。
この家で、誰かと飯を食える事に。
自分以外の人間の居るこの家で和やかな時間を過ごす事に。
***
「…ご馳走様!美味しかった~」
「…素麺くらいで、安い男だな」
「誰かと一緒に食べるってのがいいんだよ」
オレなんていつも一人だからね、とカカシはわざとらしく拗ねた口調で言った。
そんな軽口を流し、食器を片しながらオレは心の底でカカシの嘘を疑っていた。
噂のレベルなので信憑性は怪しいが、カカシはあれで結構女にもてると評判なのだ。
洗い物をしていると後ろから伸びてきた手に食器を奪われる。
「やるから休んでな」と気を利かせてきた声はやはり通りがよくて、
オレは嬉しさの反面先程浮かんだ噂もそう外れた話ではないのかもしれないと思う気持ちで折角の気分に影を落とした。
カカシは優しい。
余り話が得意でないオレにも楽しめるくらい話題が豊富で、言葉を選ぶのも巧くて人を不快な気分にさせない。
オレは久々に会話の弾んだ楽しい食卓にすっかり気が緩んでいた。
こんなに笑いながら食事を取ったのなんて何時以来だろうか。
気がつけばもう随分な時間になっていた。
開け放していた掃き出し窓の外は数多の夏の星が控えめにきらめいている。
それに気付いていながら、オレはカカシにその事を切り出せない。
それはカカシに「もう遅いから帰れ」と追い立てるのと同意になると思ったから。
オレが僅かに黙るとカカシは今オレが見上げていた星空に目を向け、微かに笑った。
気付かれてしまったのだろうか。
まだ、もう少しだけ此処に居て欲しいと思ってしまった情けないオレに。
カカシが帰ると、この家はまた何もなくなってしまう。
楽しげな声も
床を踏む音も
差し込む月明かりを遮る影さえ、オレのもの以外無く。
またオレはこの家に一人。
慣らされてしまった孤独は一度温もりを与えられた事で耐え難い苦痛に変わっていく。
ゲンマがそうだ。
オレをあいつの家に上げたりするから、オレはこの家に帰るのが寂しくてたまらなくなってしまった。
オレを抱き締めたりするから、オレはたった一人で過ごす夜に耐えきれなくなってしまった。
他人の優しさはオレを駄目にしていく。
強くなくてはならないと、誰にも頼れず生きていたガキの頃よりも
他人からの慈愛を覚えてしまった今のオレはこんなにも弱い。
こうしている今も、オレは必死で耐えている。
少し伸ばせば届く距離に居るカカシに縋ってしまいたくなる弱さに。
もう嫌だ。
本当は嫌なんだ。
一人で我慢するのも
寂しいのも
この広い屋敷でたった一人で過ごすのも
辛くて 辛くて
誰かの胸に縋り付いて、思い切り泣いてしまいたい。
それが出来たらどんなに―――。
「…サスケ」
オレの頭が引き寄せられて、カカシの胸に収まる。
オレはまた情けない顔をしていたのかもしれない。
僅かに頭を振って、カカシに何か言われる前にと顔を上げた。
帰ってもらうなら今だ。
「――カカシ」
「…寂しいの?」
「…んな訳ねえだろ。…もう、帰れ」
「そんな顔されて帰れないよ」
カカシは静かに、声を押し殺してそう言うとオレを抱く腕に力を込めた。
オレはその胸を押し退ける事ができなかった。
どうしてだろう。
オレはこんなにも弱い人間だったのかな。
少し黙ってしまうと直ぐに涙が溢れそうになってくる。
きっと、この場所の所為なのだとオレはおぼろげにそう思った。
カカシの腕を
胸の温かさを懐かしいと錯覚してしまう、この家。
(……あ、…)
カカシがオレを見ている。
優しい右目と
赤い血の色をした左目で。
オレはそっとその左目に手を伸ばした。
カカシは目を細めるだけで、閉じずにオレの指先を待っている。
目の縁に触れて、直接触れない其処にたくさんの思いを馳せた。
「…触っていいよ」
(……しゃりんがん…だ、)
オレはまた、カカシに強く抱き締められていた。
きっと泣いていたのだろう。
オレの濡れた頬にカカシの唇が触れ、溢れ出る温かい涙を舌で舐め取られて
オレは目の前の温もりが残像となって消えないように、夢中でカカシにしがみついた。
オレの罪は
これでまた塗り替えられてしまうのだ。
***
…よかった。
今データ全消ししたかと思った…(心臓に悪い)
全消しできて嬉しいのなんてぷよ勝負くらいだわ!!(涙)
あ、テトリスもです。
訂正してお詫びいたします。
という訳で
サスケさんの罪深い2回目の浮気がこれで確定しました。
どうでもいいけど書きっ放しで読み返しもしてないのを連日アップしてるので色々不安になってきた←今更
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