忍者ブログ

放置希望。

[PR]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

ゲンマとカカシ・再び(おまけ)



会いたくない相手とは会いたくないと思う程によく会ってしまうもので
ゲンマはうんざりと項垂れながらロッカールームの自分の扉を閉じた。
これから提出しようとしていた書きかけの報告書が直ぐ隣の机の上に置かれている。ゲンマのものだ。
これを持ってわざとらしくこの場を外すのも負け犬になったようで腹が立つ。
別に逃げる理由もないゲンマはそのまま席に着くと黙々と筆を走らせた。

少し遅れて入って来た男は全くいつもと同じ笑顔を振り撒いていて殴りたい衝動に駆られる。
しかし、常識ある大人としてどんな時でも毅然とした態度で向き合っていくのが信条であるゲンマはその気持ちをぐっと堪えて彼との接触を挨拶だけに留めた。






「どうも」


「お疲れ。大変だったみたいだね、任務」





「ええ、特に留守にしていた家の方が」とでも言ってやればよかったのか。
カカシはこれからの任務で使うのだろう暗殺用の長刀を肩から下ろすとゲンマの向かい側のロッカーの扉にそれを掛けた。





「サスケにふられちゃったよ。結構頑張ったのに」





カカシの言葉にゲンマはぎょっとして目を瞬かせた。
このタイミングでいきなり其処に触れてくるのかとこの男の人間性を疑う。
それでも何とか持ち堪えて「それは申し訳ないですね」と厭味たっぷりに答えてやると、カカシは笑って着替え始めた。
どうやらこれから暗部の応援らしい。





「詰めが甘かったのかな。…感触としては巧くいきそうだったんだけど」


「相手が悪かったんですよ。あいつ曲がった事が嫌いだから」


「じゃあ早いもん勝ちじゃない」


「ええ、早かったオレが勝ちました」


「うーん…納得いかないなあ」





何の話をしているのかわからない程その話しぶりは他人事で
ゲンマは少しずつ苛立ちを募らせていく。
思い切り罵倒して一発くらい殴ってやろうかとも思うのだがサスケの事を思うとそれもできなかった。
男らしく全て忘れてやると言ってしまった手前もある。
しかもこの男はこれから先もサスケと仕事で顔を合わせる上官だ。
この無神経男が相手ではさぞややりにくいだろうと此処に居ない恋人に同情しながら気持ちを収めていると
カカシはゲンマの隣にやってきて要らぬ世話を焼いてきた。






「お前、優しいのはいいけど夜が淡白すぎるってサスケが悩んでたよ。もっと抱いてやったら?」


「……アンタにだけは言われたくありませんでしたよ(怒)」


「オレもさあ、『ま、体の欲求不満なら解消してあげるから何時でもおいで』って誘っといたけど余計だったかな」


「ほんっとに余計な事しますねアンタ(激怒)」


「オレは部下の悩みを聞いてあげてるだけだよ」





本当にオレっていい上官だよねとカカシは楽しそうに笑った。
怒りに震えるゲンマに背を向けて、暗部の面をつける。
防具も全て整い後は出兵するだけの井出達になったカカシは脇に備えられた長椅子に腰掛けて体を伸ばした。

二人きりのロッカールームに再び声を落とすのは顔の見えなくなった狐の面の男の独り言だ。






「…オレも落ち着きたかったなあ。ゲンマみたいに」


「…落ち着けばいいじゃないですか」


「サスケが来てくれたらそうしたよ。もうフラフラすんのもめんどくさいし、これからは一筋になってみてもいいかなあ、なーんて」


「…すみませんね。オレのです」


「あーあ。どっかに居ないかね、可愛い子」


「ああ、言っときますけどね、あいつにはもう貴方に二人だけで会わないように言ってありますから」


「えー?だからかー、誘っても乗ってこないの」


「当たり前でしょう」


「別に体だけの付き合いでもいいよって譲歩してんのにおかしいと思ったよ」


「いらん事するのやめてください(怒)」




あはははは、と高らかに笑ってカカシはやっと椅子から立ち上がった。
何処まで本気だったのか。
そう思いながら、サスケとの事は強ち遊びでもなかったのかもしれないと思うとぞっとした。

あの男に本気で攻め込まれたらちょっと互角に太刀打ちできるかわからない。




とりあえず、今夜家に着いたらまずは抱き締めておこうか。
自分の尤も苦手とする「愛情表現の向上」という課題におおいに悩むゲンマだった。











 ***





元々こういう人だったみたいですこのはたけ。


PR
Copyright ©  -- poison dark --  All Rights Reserved

Design by CriCri / Material by 妙の宴 / Powered by [PR]

 / 忍者ブログ