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放置希望。

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文句なしではたけが好き



実はラビも好き




最強筆頭がかわいくてかわいくて













オレ、片目に弱い……な、……(遠い目)



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レス途中でごめん。
邪魔が入っちゃったのよーふへへへ。
後でまた書きます!





関係ない話ですが、






あの…(もじもじ)










双竜、…いいね、あれ(ぽ)←あああああああああ!









だって好きなんだよ!
ワガママかわいこちゃん筆頭を無条件にかわいがる(そうか?)絶倫オヤジ、たまらんじゃないか!
なんだこれ!
無敵か!!!(涙)
まさむねさまかわいいよ!!
おかしたい!!←こら






主従はよいです…最強です。
我が儘主人に側近の腹に一物敬語攻め。
こじゅうろ好きだわぁ。
ちょう好みのおっさんだわぁ。
はげ萌える。






楽しい~。
かわいいね~。
書きたいね~。
やりたいね~。←犯



大丈夫です。
まだロム専です。
(でも描いてみたい)
その後の二人の覗き見です。
ほのぼのゲンサス。







 ***





「おーい」


「…」


「だから貸せって」






重い荷物を両手に下げて、サスケは黙々とゲンマの先を歩いていく。
スーパーのエコバッグからはみ出した大瓶のペットボトルは4本。
それだけでもかなりの重量だ。
その他に色々と入っているのだから軽く7,8キロ近くはあるであろうそれをサスケは自分で持つと言ってきかないのだ。
もう片方の手に持たれているのは嵩ばかり幅を利かせるティッシュペーバーの束。
これがあるので痺れた手を入れ替える訳にもいかない。






「サスケー」


「いいって言ってんだろ。大体アンタ米持ってんじゃねえか」


「お前なあ、オレが米持って歩くのとチビのお前がその重てえ荷物運ぶのとどっちが楽だと思う」


「…オレ」





こうなると言う事をきかない子供だという事もわかっている。
要するに意固地だ。
ゲンマはサスケの横に並び、そっとその横顔を覗いた。
額から流れた汗が白い頬を流れて顎の先にたまる。
不快だろうに、それを拭う事もできない両手は最早意地以外の何物でもなく。

ゲンマは30キロの米袋(ちなみにこれは自家用のものではなく詰所に運ぶ予定のものだ)をひょいと肩に担ぎ上げると空いた方の手の甲でサスケの汗を拭ってやった。
見上げてくる顔は熱さと疲れで少しばてている。
まあ当然の事だろう。

暫く歩いて詰所に到着すると、ゲンマはまずサスケの手に持たれた重いバッグを、次にボックスティッシュを引き受けて中へと入っていった。
入り口の低い段差に腰を下ろして深い溜息をつくサスケ。
実は相当疲れている。
中からゲンマとその他の上忍達の歓談の声が届くとサスケは服の襟で流れてきていた汗を拭った。今日も暑い。
ひょい、と覗き込んできたゲンマが中に入るようサスケに声を掛けるがサスケは首を横に振るだけの仕草で断った。


首筋にいきなり冷たいものが当たり、サスケは水を引っ掛けられた子猫のように飛び上がった。
怒って振り返るとゲンマはその無様な様子にげらげらと笑っている。






「あーおもしれえ。…はいよ、お前の」


「…覚えてろよ、くそ」


「飲んだら行くかー」





よく冷えた缶のお茶を開けて、サスケは一気にそれを干した。
飲んだ途端にまた新たな汗が湧き出てくる。
濡れた口元を拭って「ご馳走様」の挨拶も忘れず空き缶をゲンマに渡すとゲンマはそれを中の連中に渡して短く声を掛けた。


雑用の済んだ帰り道はやはり暑くてサスケは忽ちまた顎が上がる。
たった一本の水分補給など砂漠に水だとぼやく小さな子供にお疲れさんと声を掛けて、ゲンマはサスケの隣を歩いた。
それでももう直ぐ夕方だ。
こう陽が高いとまだまだ外も明るいが、家に帰れば夕食の時間が近い。






「…ゲンマ」


「んー?」


「オレ今日さっぱりしたもんでいい。うどんとか」


「ぶっ倒れちまうぞ、そんなもんばっか食ってると」


「んな事言ったって食えねえよ…」






そう呟いて、サスケは少しばかり歩みの遅くなった足を止めた。
どうにも暑い。特に今日の暑さは半端じゃない。
未だうだるような日差しの落ちてくる中、少しだけ見つけた日陰に留まってしまったサスケに
ゲンマは笑いながら片手を差し出した。






「…?」


「折角手が空いたんだろ。貸せよ」


「…あ、…うん」


「もう少し頑張れ、ほら」





珍しい光景にサスケの脳が止まった。
差し出された手に恐る恐る手を伸ばすとゲンマはそれをしっかりと掴んでサスケを引き寄せた。
歩き出す背中を追って、腕を引かれて若干足もスムーズに前に出るサスケ。
振り返らない横顔はいつもと同じに飄々としていて。

サスケはほんの少しだけ暑さでない頬の紅潮に照れながら歩き出した。










 ***


ゲンマって手とかあんまり繋いでくれなそう。
慣れない行動に照れちゃうサスケさんとか初々しいなと。
あ、あれから二人はうまくいってます。雨降ってなんとやら。
えっちも増えました←どんな報告




今晩発つので暫く更新できなくなりますごめんね。
お土産話ができるといいなー。
まあ、多分飲んだくれてきますよ。






続きに拍手のお返事を。
(そういえば拍手にお礼画面つけました)




····· 続き(怖いもの見たさ)




会いたくない相手とは会いたくないと思う程によく会ってしまうもので
ゲンマはうんざりと項垂れながらロッカールームの自分の扉を閉じた。
これから提出しようとしていた書きかけの報告書が直ぐ隣の机の上に置かれている。ゲンマのものだ。
これを持ってわざとらしくこの場を外すのも負け犬になったようで腹が立つ。
別に逃げる理由もないゲンマはそのまま席に着くと黙々と筆を走らせた。

少し遅れて入って来た男は全くいつもと同じ笑顔を振り撒いていて殴りたい衝動に駆られる。
しかし、常識ある大人としてどんな時でも毅然とした態度で向き合っていくのが信条であるゲンマはその気持ちをぐっと堪えて彼との接触を挨拶だけに留めた。






「どうも」


「お疲れ。大変だったみたいだね、任務」





「ええ、特に留守にしていた家の方が」とでも言ってやればよかったのか。
カカシはこれからの任務で使うのだろう暗殺用の長刀を肩から下ろすとゲンマの向かい側のロッカーの扉にそれを掛けた。





「サスケにふられちゃったよ。結構頑張ったのに」





カカシの言葉にゲンマはぎょっとして目を瞬かせた。
このタイミングでいきなり其処に触れてくるのかとこの男の人間性を疑う。
それでも何とか持ち堪えて「それは申し訳ないですね」と厭味たっぷりに答えてやると、カカシは笑って着替え始めた。
どうやらこれから暗部の応援らしい。





「詰めが甘かったのかな。…感触としては巧くいきそうだったんだけど」


「相手が悪かったんですよ。あいつ曲がった事が嫌いだから」


「じゃあ早いもん勝ちじゃない」


「ええ、早かったオレが勝ちました」


「うーん…納得いかないなあ」





何の話をしているのかわからない程その話しぶりは他人事で
ゲンマは少しずつ苛立ちを募らせていく。
思い切り罵倒して一発くらい殴ってやろうかとも思うのだがサスケの事を思うとそれもできなかった。
男らしく全て忘れてやると言ってしまった手前もある。
しかもこの男はこれから先もサスケと仕事で顔を合わせる上官だ。
この無神経男が相手ではさぞややりにくいだろうと此処に居ない恋人に同情しながら気持ちを収めていると
カカシはゲンマの隣にやってきて要らぬ世話を焼いてきた。






「お前、優しいのはいいけど夜が淡白すぎるってサスケが悩んでたよ。もっと抱いてやったら?」


「……アンタにだけは言われたくありませんでしたよ(怒)」


「オレもさあ、『ま、体の欲求不満なら解消してあげるから何時でもおいで』って誘っといたけど余計だったかな」


「ほんっとに余計な事しますねアンタ(激怒)」


「オレは部下の悩みを聞いてあげてるだけだよ」





本当にオレっていい上官だよねとカカシは楽しそうに笑った。
怒りに震えるゲンマに背を向けて、暗部の面をつける。
防具も全て整い後は出兵するだけの井出達になったカカシは脇に備えられた長椅子に腰掛けて体を伸ばした。

二人きりのロッカールームに再び声を落とすのは顔の見えなくなった狐の面の男の独り言だ。






「…オレも落ち着きたかったなあ。ゲンマみたいに」


「…落ち着けばいいじゃないですか」


「サスケが来てくれたらそうしたよ。もうフラフラすんのもめんどくさいし、これからは一筋になってみてもいいかなあ、なーんて」


「…すみませんね。オレのです」


「あーあ。どっかに居ないかね、可愛い子」


「ああ、言っときますけどね、あいつにはもう貴方に二人だけで会わないように言ってありますから」


「えー?だからかー、誘っても乗ってこないの」


「当たり前でしょう」


「別に体だけの付き合いでもいいよって譲歩してんのにおかしいと思ったよ」


「いらん事するのやめてください(怒)」




あはははは、と高らかに笑ってカカシはやっと椅子から立ち上がった。
何処まで本気だったのか。
そう思いながら、サスケとの事は強ち遊びでもなかったのかもしれないと思うとぞっとした。

あの男に本気で攻め込まれたらちょっと互角に太刀打ちできるかわからない。




とりあえず、今夜家に着いたらまずは抱き締めておこうか。
自分の尤も苦手とする「愛情表現の向上」という課題におおいに悩むゲンマだった。











 ***





元々こういう人だったみたいですこのはたけ。


ながいことすみませんでしたゲンマカカシサスケ三角話最終話です。
一番最初の話はこちら
あとはタイトルの数字で追っかけてって。
(不親切でごめーん)







 ***






ゲンマの家は本来の自分の家の中よりも居心地のよい場所になりつつあった。
何が何処にしまってあるかがわかるレベルとか。そんなのは今更当然の事。
それより、問題はこの使い易さだ。

頻繁に使うものは手を伸ばして直ぐ取れる場所。
それは特にオレの私物に多くて。
普段オレが余り使わないものは上の棚や収納の奥にしまわれている。
オレが取ろうとするには台が必要になる棚の上段や扉の奥でもゲンマなら何の苦もなく簡単に使いこなす。
つまり、全てがオレにあわせて収納されているという事になる。





(こういうの、多分オレが来てから並べ直したんだろうな)






食器棚に並べられたものだってそう。
低い、オレの身長に合わせた位置にはオレのものが揃っている。
特に言われた訳ではなかったし、今まで何の気もなく使っていたがこうして見るとしみじみと大事にされていたのだと思う。
こういう気配りをさりげなくしておく。それがゲンマだ。

オレは普段使い用の茶碗やカップをじっと眺めていた。
どうしようか、考えているようで考えていない無駄な時間が流れていく。
ぼんやりと立ち尽くしていた自分に気付いた頃、ゲンマの揃えてくれたそこには手を触れない事に決めて洗面台の前に移動した。

当たり前のように並んで置かれている歯ブラシの片方を手に取り、持っていたゴミ袋に放り込む。
余り無駄なものは置かない性格だと思っていたのに片付け始めるとそうでもなくて、オレの掴んでいたゴミ袋は部屋の中をあちこち回っているうちあっという間にいっぱいになった。
大方片付いたそれの口をきつく縛り、オレは一区切りついた仕事に深呼吸でけりをつけた。
さて、此処からが本番だ。

ゲンマからひとつ丸々借りていた本棚から私物の書物だけを取り出し、紐で縛っていく作業。
これが実は手強いのだ。
本の大きさを揃えて高さを合わせながら積み重ね、オレは黙々とその動きを繰り返す。
だがそれも直ぐに手が止まってしまう。
時々オレの手を止めるのは、此処に来てから増えた中でも特に思い出深い本だった。
殆どの本がこの家で増やされたものだけれど、
中にはオレが探していると知ってゲンマが遠い任地で立ち寄った本屋などでわざわざ買ってきてくれた本などもあったりするので困る。

そんな本を一々目に留めては、オレは溜息を吐く。
ぱらりと表紙を捲り、またその時の情景を思い浮かべて過去に浸る。
一昨日からその繰り返し。
結局は丸々一冊読み返してしまったりするそれに時間は幾らでも過ぎていくのだ。




夕方から2時間かけて縛った本はそれでもまだ全体の半分にも満たなかった。
暗くなってしまった外に今日の作業を諦めて、オレは少しずつ持ち帰ると決めた荷物を大きなバッグに纏めてゲンマの部屋を出た。


ゲンマが任地に経ってもう1週間が経つ。
3日で戻ると聞いていたから今週の頭にはこの部屋に戻っていたのだが、明日週末を迎える今日になってもまだ任務終了の噂は聞こえてこない。
なんでもゲンマの合流した部隊は今、何時大戦が勃発してもおかしくない臨戦体勢に居て、先陣の部隊もいまだ帰れず足止めを食らっている者が多いとの話だった。
「ま、今週は無理かもね」と軽く発言する男はサクラやナルトの手前か涼しい態度で他人事に吐き捨てた。
人の目の無い場所でのみ
こっそりと此方に意味ありげな視線を送りながら。



あれから、カカシは毎日のようにオレを誘った。
だがオレは一度もその誘いに乗る事はなかった。
こんな中途半端な状態でのこのこついて行くような真似はしたくないと
何度来られてもきっぱりと跳ね付ける徹底した態度は以前の自分と全く違うと自分でも思う。
この前までのオレには迷いがあった。
でも今は―――。




月明かりだけが照らす路面を一筋の影が過ぎったのを見てオレはぱっと顔を上げた。
明るい月がオレの顔を照らし、目の前の世界は月の白とそれを浮き立たせる周囲の影、綺麗なモノトーンに彩られている。
建物、電信柱、そんな無機物に囲まれた中に一人で空を見上げるオレ。
確かに今見えた気がしたあの影は気の所為だったのかと再び目を地面に移すと
そう幾らも経たない傍から今度はしっかりと背後の気配を感じ取った。








「家出でもすんのか、少年」






大きなバッグに詰め込まれたそれに、この一週間待ち侘びた男は溜息混じりの声を寄越した。
オレはゆっくりと声の方向を振り返る。
随分くたびれた風の男はじっとりと不機嫌丸出しの目でオレを睨みつけるが、それも直ぐにやめてしまった。






「…どうすんだよ、それ」


「……持って帰る」


「何処に」


「…家に決まってんだろ」


「……ったく、…疲れて帰って来たってのにひでえ出迎えだな」






ゲンマは心の底から面白くなさそうにそう吐き出すと頭を掻き毟ってずかずかとオレに近寄ってきた。
後ずさるでもなく、その場で立ち尽くすオレの手元から荷物を奪い取るとゲンマはひょいとオレを肩に担ぎ上げる。







「…なっ、…何するんだよ!!」


「……」


「下ろせ!!オレは家に……!!」


「うるせえ!!!」







強引過ぎる態度に切れてオレが肩の上で暴れるとゲンマはたった一言でオレを黙らせた。
しん、と静まる夜の街の中でオレはおとなしくなってしまう。
黙々とゲンマが歩き始めた方向はたった今オレが歩いてきた道だ。
オレは何かを言おうと頭の中で言葉を纏めたが、
突然の展開に、しかもゲンマに担がれながらというこんな無様な体勢になっている今いい考えなんて出る訳が無い。

そんなオレに
ゲンマはいつもの声色でゆっくりと話した。







「…話があるんだろ?」


「……ああ」






それだけで、ゲンマは全て知っているのだと思った。
これで終わった。

オレとゲンマは今夜、確実にこの関係を終えるのだろう。








「…だったらちゃんと聞いてやる。…どうせ立ち話で終わる話でもねえだろうしな」







そんなゲンマの一言に
オレは確かに傷付いていた。

そこまでわかっているくせにアンタはどうしてそんなに普通にしていられるのか。
オレには理解できない。
オレはこんなにも胸が苦しくて吐きそうになるくらいに心が痛いのに。
アンタは、いつもと同じ態度で
まるでその話し合いをさっさと済ませようとでもするみたいに、悠々とオレを最後の舞台に運んで行くんだな。


こんなに悲しいと心は泣いているのにオレの眼球は乾いていた。
アンタはどうなんだ、ゲンマ。










 ***







ゲンマの家に着いたオレは荷物ごと部屋の隅に下ろされて、幾分風通しのよくなった部屋の中の居心地の悪さを噛み締めていた。
勿論それにゲンマが気付かない訳等無い。
わざと目を向けないようにしているのか、オレのものだけ片付けられた場所を避けてゲンマは洗面所に向かった。
明るい場所で見たゲンマは激しかった戦地を彷彿させる埃まみれの服を身に纏っていた。







「……風呂、…」


「いい」


「……」


「そんな事よりこっちが先だろ」






洗面台の脇に置かれた籠にゲンマが乱暴にベストを脱ぎ捨てる音が聞こえてくる。
オレはほんの僅かな物音に静かなゲンマの怒りを感じながら俯いて家主の到着を待った。

額宛を取って、後ろでひとつ結んだ髪を解くとばらばらと色素の薄い茶色の髪が落ちてくる。
根元から掻き回すように指で解すとやっと普段家で見るゲンマの顔になった。
ほんの少し肌が日に焼けている。
いや、埃で煤ぼけているだけかもしれない。

ゲンマはオレの座る斜め向かいに腰を下ろし、深く息を継ぐと此方を一瞥もせずに話を切り出した。






「…大体は、わかってる」


「…ああ」


「でもお前にも山程言い分があるんだろ。…まず先にそれをオレに聞かせろ」


「……」


「…話はそれからだ」






ゲンマはオレの居ない方向をじっと見つめたまま、そう告げて
後はオレの言葉を待つように黙り込んでしまった。
オレは何から先に話したらいいのかわからず、じっと口を噤んだままその場に座っていた。
言おうと思っている事はたくさんある。
でも、それが全て相手に伝わるように順を追って話すのは思っている以上に難しくて。

オレの沈黙に焦れたのか、ゲンマは姿勢を崩すと若干やさぐれた態度でオレを急かした。







「…オレから言わせたいのか」


「……違う」


「だったらお前が自分の口で話せ。…なんでもいい。思いついた順に喋っちまえ」






ざっくばらんにそう促されて、オレは会話らしい会話の間が途切れないうちにとりあえず口を開いた。
焦っていたのだ。

此処暫く、特にこれといって会話もないアンタと居ても空しかった。
辛かった。
寂しかった。

浮かぶ言葉は皆泣き言みたいで口に出したくもなかった。
そんな事が言いたいんじゃない。
オレはこの上っ面だけみたいになった関係を終わりにしたいんだ。
オレが、全部壊した。
アンタと築いた二人の信頼関係を、オレがたったひとりで。













「…………アンタに内緒で、…カカシと寝た」







散々迷った筈の最初の言葉は、オレが一番頭を悩ませ、毎晩罪悪感を感じ続けて眠れずにいる原因のそれだった。
オレの中で一番許せない出来事だ。
これ以上、一時だって黙ってはいられなかったのだ。






「……一発目でそれか。いきなりきついな…」


「…初めてしたのがアンタが任務に就く前の週の火曜日だったか…場所は図書室で――」


「待て!…待て待て、……幾らオレでもそんなに神経図太くできてねえぞ」


「だってアンタが――」


「お前なあ!!もうちょっとオブラートってもんがあるだろうが!!少しは考えろ!!」






目の前の卓袱台を拳で叩きながらゲンマはこの家に着いて初めてオレと目を合わせた。
大きな物音を立てられて反射的に体を揺らすとゲンマは舌を打ち、少し申し訳なさそうに目を伏せた。
苛々しているのが目に見えてわかる。既に空気が違っている。

長く一緒に居たけれど、こんなゲンマは初めて見る。







「……悪かった。…何でも言えって言ったのはオレだったよな」


「…続けていいのか」


「…できるだけ心臓に優しいやつで頼むって言いてえところだけどなぁ…」






ゲンマは俯いて、卓袱台に肘を突いくと「後は好きに喋れ」と溜息をつきながら投げやりに言った。
オレは少し悩んで
やはり、先週末のうちはの家での事を簡潔に話した。
此処で言わないともう言う機会はないと思ったから。

ゲンマは黙ってじっと同じ体勢のまま其処に座っていた。
聞いているか、起きているのかどうかもわからないような静かな態度で。

そうこうしているうちに滑りのよくなったオレの口は止まらなくなった。
言わなくてもいい事も関係のない話も驚く程すらすらと口から出て行った。
この家に住むようになってから自分が弱くなってしまった事も。
少し前からゲンマとの距離に隔たりを感じ始めていた事も。
カカシを好きかもしれないと思った事も。
カカシから無条件で甘やかされて、急に湧いた寂しさに耐え切れなくなってしまった事も。
今、ゲンマと別れたいと思っている事も。

全部、吐き出して
オレ一人が楽になる。


此方の弾槽が空になると、漸く部屋の中でオレ以外の声が響いた。
ゲンマは何を言うでもなく、少し唸ってみたり頭を抱えてみたりを繰り返していた。
オレは思いついた事を吐き出す事に度胸がついて、この中途半端な沈黙の途中でゲンマに言った。








「…オレを殴ってくれ、ゲンマ」






この通りだ、と頭を下げてそう頼む。
許して欲しい訳じゃない。
オレがそうして欲しいだけだ。

ゲンマはゆっくりと顔を上げると、ぼそりと言葉を放つ。







「オレがお前を殴って、どうなる」







オレは直ぐに返事ができず言葉を詰まらせた。
じっとオレの反応を窺うゲンマに、オレは思いついた答えを返した。







「…このままじゃ、オレの気持ちが済まねえ、から」


「それが理由なら駄目だ」


「…」


「自分が楽になりてえだけだろ。なんでわざわざオレが自業自得で良心の呵責に苦しむお前の心を軽くしてやらなきゃならねえんだよ」


「…」


「虫がいいとは思わねえのか」







尤もな言い分にオレは黙って頷いた。
そうだ。
オレはゲンマを裏切った加害者なのだ。
今更ゲンマに救いを求めるなんて虫が良すぎてる。

ゲンマは俯いたオレに次の問いを投げかけた。







「オレと別れてあの人と付き合うのか」


「………いや」


「…どうして」


「……別に」


「別にって事はねえだろ。好きなんだろうが」






ゲンマの口から聞かれると結構堪える。
オレは首を横に振り、素直に漠然と思っているカカシへの思いを語った。







「多分、…気にはなってたんだと思う。…前から」


「だったら、」


「違う、オレは、…恋愛とか、そうじゃなくて、…」


「惹かれてたんだろ?」


「……」


「あの人の左眼に」






「お前の考えてる事なんざお見通しなんだよ」と呟くと、ゲンマはすっと席を立った。
何時から気付いていたのかと問うとゲンマはもうずっと前からだと普通に答えてくる。
オレの目が、無意識にカカシの背中を追っていたのを見ていて
いつかこうなる日が来るのではないかと予感していたのかもしれないとゲンマは台所から話していた。

ゲンマは薬缶に水を入れて火に掛けて
その間、コップに注いだ水を一気に喉に流し込んで一息吐いていた。
オレはまた黙り込んでしまう。

そろそろ、本当に終わりにするべきかもしれない。
だらだらと喋った中で再三盛り込んだオレの腹の中の言葉を、もう一度はっきりとした意志にして。












「もう別れてくれ、…ゲンマ」







もうたくさんなんだ。
アンタの事で苦しむのは。
堪えられない。
これ以上寂しい思いを繰り返すのは。

そう言ってしまおうとして、言葉が詰まった。
嫌いになった訳じゃない。
分かり合おうとするのに疲れただけ。

それをどう伝えたらいい。
だって、オレはまだ―――













「…オレが、今回の事は全部忘れてやるって言っても駄目か」


「…え」


「…オレも色々悪かったと思ってる。迷ってるお前を止めてやれなかったオレも悪い。…すまなかった」





オレははっとしてゲンマの方を振り返るけれど
ゲンマは相変わらず向こうをむいたままで。
ただ、そのまま独り言のように漏らす言葉は届いてきていた。

『半分は諦めていた』
『お前が幸せになれるならいいんじゃないかとも思っていた』

と、
独白ともとれるその言葉の重さはきっとオレに聞かせるには辛い深層の部分なんだろうと思う。






「…今思えば全てオレのエゴだったんだろうな。あの目を持たねえオレじゃ駄目なんだろうなって、勝手な思い込みで結果お前を追い詰めてた」


「……違う、アンタの所為じゃない…」


「お前があの人に目移りしてると気付いた時には気が気じゃなかったよ。…それでもオレは自信がなくて、問い質す事すら怖かった」


「……ゲンマ」


「…正直、あの人に持っていかれるのだけは嫌だと思ったけどさ」





敵うわけねえもんな、とゲンマは自嘲した。
ゲンマはずっとそんな思いを抱えながらオレと一緒に居たのか。
オレはずっと、知らず知らずのうちにゲンマを不安にさせていたのか。
オレは話し合って初めてわかった真実に愕然とした。

ゲンマを変えたのはオレ自身だったのだ。
自分でも意識していない深層下でカカシに今は無き一族への想いを馳せて、ゲンマを傷つけてた。
そんな事言われても仕方ないだろうと反論したいけれどそれは理屈じゃない部分で。


ああ、やっぱり話し合うって大事だったんだ。
今になってそう思う。
もっとお互いなんでも言い合える仲だったらこんなに複雑にこじれずに済んだのに。
もっとお互い、好きな気持ちのままでいられたのに。

そんなオレの後悔を見透かすように、ゲンマは言った。







「もう、オレとは考え直せねえか」






なんだよ今更。
今になってそんな事言って来たって、オレはもうアンタと別れるって覚悟を決めたんだよ。

(オレの体はもう汚れてしまったから)

ずっと、一人で悩んで、考えて。
アンタが居なかったこの一週間で。
気持ちも、身の回りも整理して。







「……駄目か、やっぱり」


「………」


「…ま、しょうがねえな」






オレが少し黙っていただけで、ゲンマは酷くあっさりと引き下がってしまった。
だって、言える訳ねえだろ。
純粋なアンタを二度も裏切ったオレが。
今更、もう一度アンタとやり直してやるなんて。










「…もう一度、惚れ直してもらえるように努力しますか」







ぽろ、と俯くオレの手の甲に零れた涙の上にゲンマの影が落ちてきて
オレは顔を上げられなくなってそのままぽろぽろと涙を零した。
泣き声を漏らすまいと口を一文字に結んで堪えていると、卓袱台に二つの音を立てて帰ってきた掌が優しくオレの頭を叩いてくる。
ほんのりと温かい、大きなその掌の温度にオレの涙の量はMAXになった。
絶対声をあげて泣くもんかと意地になっていると
オレの頭を慰めていてくれた筈の掌がいきなり物凄い力で一発落ちてくる。







「―――…いってえ!!!!」


「殴ってくれって言ってたじゃねえか、さっき」


「…な、っ、…あ、あんたがっ…」


「おーよしよし。痛くて泣いてんのな。おじさんが慰めてやる」






ぎゅう、と抱き締められてオレは泣き顔を埃臭い胸に封じ込められた。
酷い埃の臭いにむせて咳き込むとゲンマはげらげらと笑って今度こそ頭を撫でてくれた。
無骨な掌は甘やかし慣れていない所為か酷く不器用に。
でもオレはそんなゲンマの胸がやっぱり心地よくて、背中に腕を回して縋って泣いた。
ゲンマは笑いながらしがみついて甘えるオレをあやす。
いつまでも、いつまでも。


オレの心が本当に泣き止むまで。












 **おわり**







皆さんのラスト予想はどうでしたか。
正解はやっぱりゲンサスでした。



さて、
傷心の(?)はたけはどうなったんですかね。

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